特別に優遇されること

 一般的にこの業界は給与が低い。
 その中で起こった事。
 これは実体験なのだけれども、所属していた会社で社長ととても親しい人がいた。
 待遇としては普通に平社員なのだけれども、一人暮らしをしている割には羽振りもよくて実家が裕福なのかなと思ったりもしていた。
 羽振りが良いというのは、まぁ、食事をおごったりあるいは最新機器をいち早く手に入れていたり、何かと生活が楽そうに見えた訳だ。

 同年代やあるいは妻帯者などの話を聞いてもそれほど給与が高いとは言えない中で、ちょっと不思議だなぐらいに思っていた。

 ある時、機会があって「なぜそんなに裕福なのか」が分かった。
 なんとその人は「家賃は会社持ち」「水道光熱費は会社持ち」「携帯電話は会社持ち」「インターネット接続は会社持ち」だったのだ。
 他の社員はそういった権利を持っていないのにもかかわらずだ。

 おいおい、それで普通に給料貰ってたらそりゃ裕福だよ。
 家賃は23区内で2Kだったので10万レベルだっただろうし、他のも組み合わせれば他の社員に比べて15万以上優遇されていることになる。
 その人、他の社員からも受けが悪く陰口をよく聞いたのだが、そういうわけなのか、というように合点がいった。

 自分は綺麗事かもしれないが、皆が平等に幸せになれるべきだと思う。できる人間とできない人間が同じだけの額の給与がもらえるというわけではない。実力に見合った金銭を受諾する権利が平等にあるべきだと思うのだ。
 確かに実力はあったのかもしれないが、裏でこそこそと優遇措置を受ける事が皆によく思われる筈がない。自分はたまたま知ってしまったが、恐らくこうしたことを知らない人間もたくさんいるだろうから、余計にやるせない気持ちになる。

 少なくとも自分は皆に認められて相応の給与を頂ける身になりたいものだと思う。