AI時代のエンジニアとして、いかに生き残るか。その答えを模索する中で、ひとつの重要な視点が見えてきました。
AI時代は“短距離走”より、3〜5年の時間軸で適応した人と組織が勝つ、ということです。
Agentic AIがもたらす働き方の逆説
Agentic AIの登場により、働き方に大きな変化が起きています。興味深いことに、海外のAIスタートアップでは「996」(午前9時から午後9時まで週6日働く)という働き方が再び注目を集めています。
AIは人間の労働を軽減するはずでした。皮肉なことに、現実は違います。
Devinを提供するCognition社CEOのScott Wu氏は、こう述べています。
「私たちは週末もオフィスにいることが日常的で、夜遅くまで最高の仕事をすることもあります。多くの社員が文字通り職場に住んでいます」
People have asked about our culture and recent employee communications. Cognition has an extreme performance culture, and we’re upfront about this in hiring so there are no surprises later. We routinely are at the office through the weekend and do some of our best work late into…
— Scott Wu (@ScottWu46) 2025年8月5日
さらにWindsurfの買収においても、従業員は週6日出社し、80時間を超える勤務時間をこなすことが求められていると報道されています。
8時間×5日=40時間ですから、13時間×6日=78時間でもまだ80時間には到達しません。
なぜ今、AIスタートアップは「働き方改革」に逆行するのか
この一見矛盾した状況には、明確な理由があります。
今がまさに、AIという新しい世界の「覇権」を決める重要な時期だからです。AGI(汎用人工知能)開発競争の最前線では、デファクトスタンダードを確立した企業が次の時代を支配することになります。
ChatGPTがLLMによる革命を起こして以降も、AGIはまだ発展途上です。実装力では一般的なエンジニアを凌駕しつつも、細部のミスや設計力の課題は残っています。この「まだ完璧ではない」状況こそが、激しい開発競争を生んでいるのです。
スピードこそが生存戦略なのか?
エンジニアなら誰もが知っています。長時間労働は生産性を下げ、燃え尽き症候群を招くことを。それでもAIスタートアップが猛スピードで開発を進める理由は明確です。
彼らは、AI時代の勝者になるには「スピードがすべて」だと考えているからです。
いかに早く実用的なAI製品を市場に投入できるか。この競争に勝った企業が、次の時代のスタンダードを作る、そう信じて、限界まで働いているのです。
AIに任せればいいのでは? しかし、AIにはできないから人間がやるのです。
しかし、「スピードのために長時間労働する」これが唯一の道なのでしょうか?
別の道:「適応」という選択肢
2025年8月21日現在、AnthropicのClaude CodeがTeam/Enterpriseプランで利用可能になりました。
私がVPoEを務めるHRBrainでは、この発表に先立ち、社内メンバーへの提供準備を進めてきました。Agentic AIがしのぎを削る現在の状況は、必ずすべてのプロダクト開発企業にClaude Codeが波及すると確信していたからです。
Claude Codeのようなツールは、エンジニアの仕事を根本から変えました。これまで設計に多くの時間を費やし、頭の中のコードをそのまま実装していた作業が、驚くほど高速化されています。
以前ならWebサイトを開発し公開するのに数日という時間を要していましたが、今ならClaude Codeに構成を伝えNetlifyにデプロイするまで1時間程度で済みます。
設計さえ終わっていれば実装は分単位で終わるようになったからです。
頭の中で設計するという本質は変わりません。しかし、設計をコードや実行に落とし込む時間は確実に短縮され、設計を壁打ちする相手も人間からAIに変わってきています。
AIは人間の能力を底上げするのではなく、あくまでも「そもそもできる人の力をより引き出すもの」に過ぎません。
なぜなら、AIがあろうと知らない知識は活かしようがないためです。
ですから、元々コードを書けない人が「書けるようになった」と錯覚するような間違いも起きてはいます。
AIは頭の中にあるものをより素早く具体的に出力できるツールに過ぎません。考えの範疇にないものは出力しようがないからです。
情熱と持続可能性のバランス
かつてゲーム会社で働いていた頃、机の下に寝袋を敷いたり、会議室で椅子を組み合わせて寝ることは当たり前でした。それだけの時間と情熱を費やしてゲームを創っていたからです。
しかし今、この働き方を続けることは現実的ではありません。そして、それは必ずしも必要ではないのかもしれません。
AIを活用する企業にとって重要なのは「996」を推奨することではなく、AIツールを正しく活用することで、より効率的に、より創造的に働く方法を見つけることです。
見据える時間軸を伸ばす:本当の生存戦略
インターネット黎明期、スマートフォンの登場。私たちは幾度となく技術革新の波を経験してきました。そして今、AI時代という新たな激動期を迎えています。
ここで重要な気づきがあります。この変化にどう対応するかは、AIに聞いても答えは返ってこないということです。
必要なのは、人間の経験と洞察力。いかに先を読み、備えるか。その判断力こそが、AI時代を生き抜く最大の武器となります。
見据えるべき時間軸は半年といった短さではありません。最低でも1年半後、できれば3〜5年先を見据えて物事を考えていくべきです。
見据えている時間軸が短くなると、プロダクトだけではなく組織に影響がでます。目の前のことだけに集中するだけでは前進はできても、いつの間にかプロダクトも組織も変化に追従できなくなります。
見据える時間軸は油断するとすぐに近視眼的になります。直近の問題を解決し続けるのは「fire-fighting mode」とも呼ばれ英雄視されることでもあります。故に、意識的に長期的に物事を見据える訓練を積まなければならないのです。
エンジニアとしての新しい価値
AIを恐れるのではなく、正しく理解し、活用する道を選ぶ。これが今、エンジニアに求められている姿勢です。
Claude Codeのような最新のAgentic AIを積極的に導入し、変化の最前線に立つことで、新しい価値を創造していける。そんなエンジニアだけが、この激動の時代を生き抜けるでしょう。
求められているのは、長時間働くエンジニアではありません。AIと共に進化し、より高い価値を生み出せるエンジニアです。
変化の先にあるもの
変化を恐れず、むしろチャンスと捉える。そんな時代が到来しています。
AIスタートアップの極端な働き方を見て、不安を感じるかもしれません。しかし、それは一つの選択肢に過ぎません。
私たちには別の道があります。AIを味方につけ、より賢く働く道が。
長期的な視点を持ち、技術の本質を理解し、人間にしかできない価値創造に集中する。これこそが、AI時代を生き抜くための真の戦略だと考えています。
時代の変化は加速していますが、焦る必要はありません。大切なのは、3年後、5年後の自分がどこにいたいかを明確にし、そこに向かって着実に歩みを進めることです。
とはいえ、ゆっくりしている余裕もないでしょう。AIと共存する未来は、もう始まっているからです。
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