推理ゲームを好むのはマイノリティだ

雨格子の館

雨格子の館


推理ゲームには眼がなくて発売前から期待していた作品。
一応お休みがとれたので購入してプレイしてみた。
7000円という価格設定、プレイしようとしたらPS2がぶっ壊れていて本体の新品を買うことを余儀なくされたが、無事プレイ。
ネタバレを含まないつもりの感想だけれど、新鮮な気持ちでプレイしたい人は注意。


で、感想。
流れとしては何者かによって集められた男女が「雪の山荘」(この場合雨だけど)に閉じこめられた。そこで巻き起こる殺人……。
といったまぁ、きわめてよくある系統。
で、パートとしては昼間パートで推理をし、行動することによって夜パートに行われる殺人を食い止めていくということになる。


まず「見立て」が示され、その見立てにあった本を見つけ出し、
注意すべき人物をあて、その殺害を未然に防ぐ……というアイディアは面白いと思うものの、
あまりにも直線的過ぎることが気になった。


要するに見立ては常に正確であり、アイテムは決まっており、
その見立てに関わるアイテムを隠してしまうと犯人は殺害を行わない。
また、隠さないとしても犯人は常に夜パートに殺害行動をする。
昼間はみんな殆ど部屋に閉じこもっている、ないしは一つの部屋に留まっている。

これが何とも味気ない。
犯人は凶器をそもそも自分で用意していないのか?
その辺りに凶器にすべきものを放置しておくのはどうなの?
必要な道具を隠されたらもう殺害を諦めるわけ?


こういった「雪の山荘」ものとして初代「かまいたちの夜」は殺人は唐突に行われ、
殆どが死に絶え追い詰められた時などは恐怖さえ憶え流石我孫子武丸といった感じでよく出来ていたと思うのだけれど……
この「雨格子」の場合、ほぼ全員が死んだところであまり恐怖という訳でもなくかなり淡々としている。
それはいわゆる生死分岐があるせいだ。(生死で分けることが困難なため猟奇的なシナリオなどに進むことができない)


そして、恐らく生き残るフラグをつけてしまったが故にフラグバグも散見され、
既に死んでしまって死体を見つけている人間に対して食事を運ぶような選択肢が得られたことがあった。


この生死がわかれることはおのおのが部屋に閉じこもってしまう原因(会話など分岐爆発するので)になっていると思われるため、死の一本で良かったように思う。
とってつけたように生存者に「部屋に閉じこもっているように」というのも何だか興ざめだ。

動機やトリックは評価できるほど奇想天外でもなく(寧ろ陳腐)ストーリーも増えていく訳ではなく本筋(+ちょっとしたオマケ)のみとなっているのがコストパフォーマンスを悪くしているだろう。


とはいえ、こうした本格推理を名乗る作品は大変希有なため、頑張って欲しい……という切実な思いもある。
何だかもったいないな……と思いながらプレイを終えた。
着想は面白いんだけれど、死ぬ予定の人間を無理に生かす必要はないと思う。生き残っても大して役に立たないのだから味気ないのだ。
真相を究明する際の話は聞けるんだけどね……。