あんなプログラマこんなプログラマ

 あるプロジェクトで途中から御一緒した某大企業に勤務するAさんは凄腕で実装するスピードもかなりのものでした。当初予定していた人材が確保できず火を吹いていたプロジェクトにはまさに天からの恵みのような存在でした。
 ある一点を除けば……。
 このAさん、他の人のソースまでガンガン書き換えてしまうのです。しかも相手に確かめないで。CVSでバージョン管理をしていたのですが、他人の管轄下にあるソースをコミットするのもお手の物です。開発途中だったりするソースにも手を加えたりするので、動かなかった部分が勝手に動くようになってしまっていたりと、ある意味製品はできていくのですが管理ができません。動かない部分といっても手をつけていないのはスケジューリングの関連ですから仕方がないのですが、手が早いせいかそうした更新を勝手に行ってしまうのです。
 これには大変まいりました。
 保守をしないような案件であれば動くものをとりあえず作ってしまうのはアリなのかもしれませんが、勝手に書き換えてしまうというのは戴けません……。まぁ、とある事情で強く言えないこっちも悪いのですけれども。


 今年で三十歳になるとかならないとかいうKさんというプログラマ。その担当となってるパートでどうも挙動がおかしくマシンが停止してしまいます。デバッガとその機器の性能の都合上、停止してしまうと「なぜ停止したのか?」がわかりません。
 なので、再現させるべく様々な操作テストを試みつつソースを読んでいく羽目に陥りました。夜通しチェックしていたもので眠くて仕方がありません。けれど納品はすぐそこ、ああ、何とかバグをとらなければと。
 
 探すこと数時間、見つけましたよ。
 zzzz = xxxx % yyyy;
 おおーい、yyyyが0のときがありやがりますよ!
 他のプログラマと一緒に見ていて、ほぼ同タイミングでこの箇所を発見したのですが、本人がこれくらい気づいてくださいよ……と、そんな悲しみを覚えるような日でした。