- 作者: David M. Bourg,Glenn Seemann,株式会社クイープ
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2005/01/12
- メディア: 大型本
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オライリーにしては珍しいゲーム本。
ソースコードのサンプルなどはサイトからダウンロード可能ですが、こちらはあまり参考にならない気がします。(対応コンパイラがバラバラでへんてこなので)
が、しかしながら書籍中に記されているAIの初歩的な概念というのは図入りで丁寧に説明してあり、開発初心者にはとても有用なのではないでしょうか。
昔はこの手の本って殆ど無かったですけれど、そういう意味では今は恵まれていますね。
さて、AI、実際のリアルタイムゲームですと処理時間の関連であまり複雑なアルゴリズムは導入不可能ですが、的を絞って使えば「頭がよさそうに見える」移動は可能です。
稀にものすごく頭が悪い挙動をするゲームなどもありますがその原因は「処理時間が足りない」「実装者の数が足りない」「実装者の能力/知識が足りない」の何れかであって、熟練した実装者の数が足りない場合でもこうした本を下地にすれば大多数の人が実装することができるんじゃないかなぁ、と薄ぼんやりと考えています。
(ただ、巧みの技というはいかに少ない処理時間で「頭をよく見せるか」というところなんでしょうが)
こうしたAIとか動きに関連するところをなれない人にやらせるのはリスクが高くもあるのですが実装していて「面白い」ところでもあるので、意欲のあるプログラマにはどんどんこうしたところをやらせると良いかもしれません。
インターフェイスの処理よりもこうした動作に関するところやエフェクト面というのは派手な工夫が介在するからやる気も変わってくるでしょうし。
反面、操作感や見た目を含めたユーザビリティに影響してくるインターフェイス面に関してはデザイナーと素材などに関してきちんと詰められるだけの判断力が必要とされるので、地味ですが熟練したプログラマがつくった方が良いものができると思います。
新人のプログラマが名前入力画面を作っていたことがありますが「画面内に入力できる文字が足りてない」なんてことがありました。
こうした地味ですが根幹を担う部分は素材をもらってそれを使えばできてしまうエフェクトなどとはひと味違う部分といえたりもします。名前入力画面などは長くはつきあわないですが、キャンプやステータス画面など何度もプレイヤーと向き合う画面はユーザの「慣れ」に頼らないインターフェイスを提供できるべきだと考えたりします。
そして、それはデザイナとプログラマの意思疎通が図れる必要があるので、一朝一夕にはいかないものなのです。