代表取締役になるのは幸せか?

 以前に机を並べて仕事をしたことがあり、独立している人から電話があった。
 お誘いのお電話だった。「うちくる?」みたいな。
 丁重にお断りをしてみた。

 まぁ、赤貧だしね。……というのは置いておいて、自身に問いかける。
「――技術者が代表取締役社長になるのは幸せか?」

 僕はこれはちっとも幸せではないと思っている。
 寧ろ不断論理的な人間であるほど起業してどうのこうのとプランを語り始めて危ない感じなので手を出さない。

 会社を建てるのは勝手だと思う。自分の自由にできるのは素晴らしいことだと思う。
 でも、その重荷をどう処理していくのかまで考えが及んでいるんだろうか、ということだ。
 自分だけじゃなく社員の生活を保証していけるの、ってことだ。

 社長なんて看板なので開発面においてものすごく理解があるか、はたまた木偶か傀儡で十分だが、その社長が技術者で意志を持っていて何かをしようとすると途端におかしなことになる。

 なぜって?
 きっとそういう社長は大抵実装においてもリーダであって、それが実装をやったり営業をやったり雇用をしているんじゃ、社長の仕事がこなせないばかりか、何も身につかなくて中途半端になってしまうから。

 社長は社長の仕事をしていればいいし、他の仕事をすべきでない。
 社長は何もしてないように見えるけれど、ちゃんと何かをしている。
 組織経営において意志決定はとても重要で何か他毎の合間に決めることではない。
 組織を育てないといけない人間が組織内のチームの一員であることは何も生み出さない。
 社長が実装におけるリーダであるよりも、
 できれば、お金とか他社との関係性に気を配っていてくれる人の方が良い。
 技術者として一流であっても、社長として一流の筈がないのだから。
 だって、誰だって何かの合間に一流の技術者になった訳ではないよね?

 と、まぁ、ぐだぐだ述べた訳ですが、今は転職する気はないよ、ってことなんですよっと。