世田谷一家殺人事件

 2000年の大晦日(前日)の事件ですが、最寄り駅でポスターを発見してまじまじと見ました。
 犯人は一家四人を惨殺したあとアイスを食べながらネットサーフィンをしていたという記述があって、空恐ろしく感じたので考えを書きます。


 被害者宅のPCは「犯行時刻以降から翌朝午前10時過ぎまで」数回に渡りネットに繋がっていた(遺体は午前10時50分発見)ということで、犯人は早期逃走を考えていなかった事になる。
 さらに「パソコンの電源ケーブルは発見時には抜け落ちており」という情報があるので、捜査攪乱のために何らかの方法で自動接続/切断を行った訳でもない。
 いかに休み中だとはいえ人通りがあるだろう時間帯まで滞在をするということは「捕まる」「自分に捜査の手が及ぶ」という事を意識していないわけで、それだけでもいかに被害者と繋がりが薄いか、ということがわかる気がする。
 正常な判断力があれば、2時、3時といった時刻に抜け出すのが最適だろう。人目があり得るなかで人混みに紛れるより、夜闇に紛れる方が考えるまでもなく楽だ。

 故に家族とは殆ど(あるいは全く)面識もないのだろうと考えられる。
 すると、殺人までに至らせる動機が焦点になるのだろうが、実際に希薄な関係性のなかで、それに至るに足る怨恨がありえるとは思えず、強盗や窃盗にしても「ネットサーフィンという無駄な事に時間を割いている」から考えられない。
 また、こうしたことは(その日には)加害者に同居人がいないだろう事を裏付けていると思われる。同居人がいれば、この時刻に滞在していなかった事を不審に思われる可能性があるだろうからだ。また、現場にも服を脱ぎ捨てており、これも同居人の不在を意味しているように思える。
 要するに自分以外の人間と関連した動機でもない。共犯なら別だろうけれど、それにしても間接的な関係性を持つわけで悠長にしている理由を持たない。
 ではどうして加害者は加害者にならなければならなかったのだろう?


 半日近く被害者宅にいたことや、女性被害者(しかも女児含む)にのみ何度も外傷を与えた事を考えると、計算しきれない部分を感じる。
 ネットがしたければ自宅に戻れば良い。アイスもしかり。しかし、さしたる理由もなくその場にとどまったということは、理由無き殺人であることを強調しているように思う。
 こうした不可解な点がある理由無き殺人はただそれだけで心をむしり取るような恐怖感がある。だからこそ、人は事件に怨恨だとか衝動だとか理由を与えたがるのだろうけれど。